1.排卵の時期を探す検査
女性は月経周期に合わせてホルモンバランスが変化します。月経周期に合わせて必要な検査を行うことで、排卵の周期や着床の条件が整っているのかなどを知ることができます。
排卵をの時期を探す検査
- ・ホルモン検査
- ・経腟超音波検査
- ・頚管粘液検査
- ・基礎体温測定※別のページでご説明しています
排卵の時期を探す検査は、基本的な検査のため、どの治療でも行います。
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月経期の身体の変化をご紹介します※図は28日周期を例としていますが、月経周期には個人差があります。
子宮内膜の変化サイクル
月経の周期的な変化のうち、一番わかりやすいのは生理出血です。これは体外に排出された子宮内膜です。
子宮内膜は、受精卵を受け止めるクッションとなるところです。エストラジオール(E2)の刺激を受けて、子宮内膜は排卵のころから厚くなります。子宮内膜の厚みは経腟超音波検査で確認します。
卵子発育のサイクル
エストラジオール(E2)は排卵をひかえた卵胞から分泌されます。エストラジオール(E2)は子宮内膜を厚くするほか、排卵期の子宮の入り口の粘液を「精子が通過をしやすいように変化させる」作用があります。排卵期に頸管粘液検査を行うことで、卵子が排卵に向けて発育しているのかどうかが分かります。
ホルモンの働きと分泌のサイクル
エストラジオール(E2)の分泌がある程度増えると、LHが大量に分泌されます。LH分泌のピークの36~48時間後に排卵が起こります。ホルモンの変化は血液検査で確認します。
基礎体温の変化
排卵を終えた卵胞が分泌するプロゲステロン(P)の作用で、基礎体温は上昇し高温相に変化します。基礎体温測定のグラフが2相性を示すと、排卵のおこったことが分かります。
黄体機能不全
- ・排卵後、基礎体温表の低温相から高温相へ変化について、「変化が少ない」「変化に日数がかかる」「高温相の期間が短い」などは黄体機能不全の状態を表しています
- ・黄体期(着床期)のホルモンレベルが最低基準値に達していない場合に黄体機能不全と診断します。
- ・黄体機能不全の原因は大半が排卵の条件が悪い場合です。そのような場合には、排卵誘発剤を使用することが治療としては有効とされています。排卵誘発剤を使用し、排卵を良くすることで黄体機能は改善され、妊娠成立に必要なホルモン分泌の状態の改善が期待できます
3.経腟超音波検査
内診台で行う検査 検査時期:(月経期)・排卵期・着床期
- ・腟内に親指ほどの太さの超音波診断装置のプローブを挿入し、子宮や卵巣の状態をモニターに映し出す検査です。内診台の上で行います。スカートを着用されるか、掛物をご持参されるとスムーズです。
- ・検査の前に必ず排尿を済ませてください。尿が溜まっていると、経腟超音波検査で見えにくい場合があります。
3.子宮内膜の厚みの測定
子宮内膜は、受精卵を受け止めるためのクッションになるところです。
排卵期の子宮内膜を超音波検査で確認すると、木の葉状に見えます。厚さは8mm以上あるのが理想です。着床期にはらさに厚くなり、白い塊状に見えてきます。
3.卵胞サイズの測定
卵胞は一日に1~2mmずつ大きくなり、20mmくらいで排卵します。図の矢印に挟まれた黒い丸のようなものは、排卵前の卵胞です。排卵した卵胞は黄体に変化します。着床期の超音波検査で確認した卵巣の内部が、白く濁って見えたり何も見えない状態だったりすると、排卵が起きたと確認できます。
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頚管粘液は、子宮の入口の子宮頚管にある粘液です。一般的にはおりものと呼ばれています。頸管粘液は排卵の頃になると、精子の通過を助けるために性状が変化します。
検査方法
排卵期の頸管粘液を採取し、肉眼と顕微鏡で量・透明度・伸びぐあいなどを確認していきます。
頸管粘液と精子の関係
本来、子宮内の環境は精子の生存に向きません。排卵期に変化した頸管粘液の中なら精子は生存し、卵子を目指して子宮内を進んでいくことができます。もしも排卵期の頸管粘液分泌が不十分だとしたら、精子の侵入が難しくなるため妊娠しにくい状態といえます。
5.ホルモン検査検査
検査の時期によって、検査対象のホルモンと基準値が変化します。初診パンフレットも合わせてごらんください。
月経期
- ・FSH 卵胞刺激ホルモン
- ・LH 黄体化ホルモン
- ・エストラジオール(E2) 卵胞ホルモン
- ・プロラクチン(PRL) 乳腺刺激ホルモン
排卵期
- ・エストラジオール(E2) 卵胞ホルモン
- ・LH 黄体化ホルモン
着床期
- ・エストラジオール(E2) 卵胞ホルモン
- ・プロゲステロン(P) 黄体ホルモン