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1.精液検査

精液の異常(男性不妊)は不妊症の30~40%を占めることから、精液検査は重要な検査のひとつと言えます。しかし精液検査の結果が正常でも、妊娠を保証するものではありません。
2022年4月から男性のみの検査もお受けしております

  • ・検査同意書をご提出ください
  • ・6ヵ月以内の感染症検査の結果が必要です
  • ・結果はご本人がお聞きください
  • ・採血や結果説明など、3~4日の通院が必要です

2.精液検査の流れ

2-1.血液検査

血液検査:ホルモン検査、亜鉛検査、感染症検査

  • ・ご夫妻で通院中のかた…6ヵ月以内の感染症検査の結果が必要です
    男性のみで通院中のかた…血液検査を行います
  • ・採血でご来院の際に、精液検査についての説明をいたします
  • ・風疹抗体クーポンをお持ちのかたは、受付へご提出ください
  • ・血液検査の結果によっては、精液検査の結果に影響がある場合があります
感染症検査はこちら 亜鉛検査はこちら

2-3.精液検査(提出)

採取
  • ・雑菌が混入しないよう、できるだけ性器と手指を清潔にしてください
  • ・禁欲期間は3~5日が、精液の状態が一番よいとされています
  • ・ラベルはペンではっきりと記入して、採精カップにお貼りください
運搬
  • ・採取から2時間以内にクリニックにご提出ください
  • ・精子保管は32℃前後の人肌の温度が適しています。運ぶときは内ポケットなどにお入れください
  • ・暑すぎたり寒すぎたりする環境は避けましょう。エアコンのそばに置いたり、ストーブやカイロで温めるなどはおやめください
提出
  • ・ご予約のうえ、ご来院ください
  • ・受付で、氏名・採取時間・取りこぼしの有無・禁欲期間をお聞きします
  • ・ご本人診察券もご持参ください

2-3.結果説明

一般精液検査 / 精子機能検査
  • ・精液提出後、1時間半ほどで結果が出ます
  • ・結果はご本人がおききください
DFI検査+ORP検査
  • ・精液提出後、2週間~1か月ほどで結果が出ます
  • ・結果はご本人がおききください
  • ・WEBからのご予約が可能です

3.一般精液検査 / 精子機能検査

3-1.一般精液検査 判定基準

WHO(世界保健機構)の定めた基準です。1年以内に自然妊娠で挙児を得られた人の最低値をもとに算出されており、自然妊娠の一つの目安となります。

  • 精液量…1.4ml 以上
  • 精子濃度…16.0×106/ml以上(1ml中に1600万個以上)
  • 運動精子濃度…6.72×106/ml以上(1ml中に672万個以上)
  • 精子運動率…40% 以上
  • 精子奇形率…96% 以下
  • 総精子数…39.0×106/全量以上(全精液中に3900万個以上)
  • 白血球…ml中に100万個 以下→白血球を含めた円形細胞全体としての基準を用いる場合
  • 円形細胞…1ml中に500万個 以下

上記の判定基準をすべて満たした場合は正常精液所見となります。

一つでも基準に満たない場合、異常ありと判断します。乏精子症や精子無力症などの所見がつきます。

3-2.精子運動解析装置SMAS

  • ・SMASは、コンピューターを用いて瞬時に自動で精液を解析する装置です。SMASは精子を自動追尾し、移動軌跡、運動・不動精子の判別を行います
  • ・人の目による顕微鏡下の測定では、「どれくらいを速いとするか」など、担当者によって測定に差が生じていました。SMASを導入することにより、人間の不得手な客観的な評価が可能となりました

3-3.SMV:精子運動性指数

  • ・受精能力を判断するための指数です。SMASから得られる直線速度・高速で運動する精子の数を元に算出されます
  • ・治療選択の目安にもなります

4.DFI検査+ORP検査

・世界保健機関(WHO)ラボマニュアル第6版では、精子の質を評価する新たな項目が追加されました。追加された評価項目を調べる検査に、DFI検査とORP検査があります。

  • ・精液検査と同時に行います ※DFI検査、ORP検査のみの検査は行っていません
  • ・検査同意書をご提出ください
  • ・自費の検査
  • ・結果はご本人がお聞きください

WHO(世界保健機構)の定めた基準です。
1年以内に自然妊娠で挙児を得られた人の最低値をもとに算出されており、自然妊娠の一つの目安となります。

4-1.DFI検査

精液検査:精子DNA断片化指数検査

精子に含まれる、DNAを損傷した精子と未熟な精子の割合を調べる検査です。検査結果によっては、人工授精や高度生殖補助医療を提案します。

DFI=損傷したDNAを持つ精子の割合
  • ・DFIが高い場合では、受精率、胚発生率、妊娠率が低下したり、逆に流産のリスクや子の異常の頻度が高くなったりすることが報告されています
  • ・男性の不妊に関わらず、加齢に応じてDFIが増加することが知られています
HDS =精子核が未熟な精子
  • ・正常男性に比べて不妊男性ではHDSの割合が高いことがわかっており、精子形成機能に大きなレベルの障害を持つことが示唆されています
  • ・HDSの割合が高い場合は、受精率・胚の質・妊娠率の低下と関連していることが報告されています
  • ・精子DNA核の未熟は流産と関連していることも報告されています

4-2.ORP検査

精液検査:精液中酸化還元電位測定検査

ORPとは酸化還元電位のことで、酸化物質と抗酸化物質との関連を示しており、精液中の酸化ストレスの指標になると考えられています。

ORP検査は単独で行うことはできません。DFI検査と同時に行います。

酸化ストレスと男性不妊
  • ・酸化ストレスは、精子DNA損傷の主な原因とされています。WHOは、酸化ストレスを男性不妊に大きく関わる重要なパラメータとして認めており、酸化ストレスの評価と管理は男性患者の治療にとって重要であるとしています。
  • ・不妊症の男性は、精液中の活性酸素濃度が高く、抗酸化物質の濃度が低い可能性が高いという研究結果があります。



内田クリニック -島根県松江市 婦人科・内科胃腸科-